特許明細書での実験データの載せ方

特許出願をするときに、化学、電気、医薬の分野などにおいて、「実施例」という項目をよく明細書に記載すると思います。

この実施例というのは、実験データとその分析なんかを記載する項目になります。

 

この実施例というのは、機械やITの分野の特許ではあまり使わないので、

プロの弁理士であっても、「実施例」のことはあまりわからない方も多いと思います。

 

以下に、その実施例の作り方を示します。

 

特許明細書での実験データの載せ方

実施例の書き方

こういった実施例をどのように書くかという事ですが、基本的には、公表できる範囲で出来るだけたくさんの実験のデータや製造方法を記載しておいた方がよいです。

というのも実験の上で使用した材料や方法、結果をなるべく詳しく記載する事でそれだけ発明の説得力が増すからです。

 

実施例を書く上で記載に不足がありますと、必要な事項のすべてという条件を満たす事が出来ず、発明が特定されない場合があります。

このような場合は、発明が不明確であるということで、特許出願が拒絶される原因になりますので、非常に注意が必要です。

 

ですので、実験の手間や、公表できる範囲というのを考えた上で、実施例を記載する時にはとにかくたくさん書くということを基本方針とすべきです。

 

特許明細書を書く上で記載出来るものはとにかく記載しておいた方が良いのは単に発明の説得力が増すからだけではなく、

一度出願した特許明細書に追加で内容を記載する事が出来ないからです。

 

また、一度記載した実施例をあとから削除することは可能ですので、これは記載する必要があるかなと思うものでもとりあえず記載しておけば、後から後悔することは少ないと思います。

 

また、実施例の項目に記載する実験データは、特許請求の範囲の請求項1の範囲に含まれるものを実施例、

含まれないものを比較例、それ以外のものを参考例などという形にして記載するのが一般的です。

 

 

比較例の書き方

実は、「実施例」の項目を書く場合に、重要でかつ難易度が高いのは、実施例よりもむしろ比較例の方です。

 

比較例は、請求項1の範囲に含まれない技術の実験データをあえて記載することで、

請求項1の範囲に含まれる発明の良さを際立たせる働きがあるからです。

 

 

また先行技術文献の中に記載された条件で実験した従来の技術を、比較例として記載する事もおすすめです。

これいより、今回の新しい発明が新規性、進歩性がいかにあるかということがわかりやすくなるからです。

 

これらの書き方のポイントとしては実施例の結果では権利範囲に入っているが、

比較例や従来例では権利範囲が入っていないという事を確認しながら書いていくということで、

よく確認しながら書いていかないと従来との差が審査官に伝わらず、結果的に審査に通らないといったことになりがちです。

 

ちなみに実施例自体が少なかったり、限定された材料でしかそれを再現できない場合も、

審査官からサポート要件違反や実施可能要件違反の拒絶理由書が送付される事もあります。

その場合にどうしても権利化しようと思った時には権利範囲を狭めたりする必要性が出てきます。

 

権利範囲を狭めるデメリットとして、仮に権利が取れたとしても、

実際には限定的な部分しか行使が出来ないといった事態に陥る事になりますので注意する必要があります。

 

もしもその状態で出願する際には通常の特許明細書よりも比較例に力を入れて書くという事が大事で、

有効性を主張するために従来のものと比較するような説明して行き、何故有効な方法なのかという事をより細かく記載する必要があります。

 

一番良いのは権利範囲の中において十分な実施例を記載しながら、それを明確に説明出来る比較例と従来例を記載する事で、

これらが全て揃う事が一番特許明細書を通しやすい条件となりますので、比較例に限らず全ての例をなるべく用意できるだけ用意することがポイントです。

 

 

なお、実験データは、実験成績証明書として、出願後に提出するという手法が、広く用いられています。

例えば、拒絶理由通知書が発行された場合に、意見書中に実験成績証明書という項目を設けたり、意見書に添付する形で実験成績証明書を提出します。

 

なお、この実験成績証明書には、出願人や実験者の押印をするという慣習があります。

押印をしなければならないという決まりはありませんが、そういう慣習ですので、時間的な余裕があれば押印しておいた方が無難だと思います。

 

しかしながら、審査の対象になるのは、あくまで出願時に提出された書類の内容だけですので、

この実験成績証明書が、審査においてどれだけ意味があるかというは、少し疑問のあるところです。

 

 
 
    どうも 
 弁理士 吉田雄一  

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